たまに試食会を開催していますよね。
何の為?
一つは全員で料理の内容を把握して共通意識を持つこと。
うんうん、確かにそうだ、お客様にも説明できるし、
「これ美味しいですよね~」なんて会話もできるし。
そしてもう一つ。
じつはこれが最重要!このために試食会があります。
それは...
料理への「酷評」!!
ただし愛のある。
料理作っている人間てお客様の顔見て仕事していませんので、
どれが正解でどれが不評かわからないんですよね。
ですので普段お客様と接している、しかも自身がお客様になる機会の多い皆さんの
感想が必要なんです。
これは美味しい、いまいち、しょっぱい、辛い、甘い、
量が多い少ない、コースのメリハリ、盛り付け、アイデアが良い悪い、
などなど、どんどん酷評してほしいんです。
みなさん、そんなこと言ったら料理長に悪いなんて思ってませんか?
全く逆ですよ逆。
何も指摘や評価されないなんて成長させないようにしているようなもの。
あてのない旅を彷徨ってるようなもの。
「なにしよう?どこいこう?こっちで合ってるかな?まあこれでいいか、
誰も文句言わないから合ってるんでしょ。」
料理人の仕事って何でしょう?
料理を作ることに決まってるじゃないか!
まあ、そうなんですが。
もっと厳密に言うと、
いかに世間でニーズのある商品を作るか、なんです。
皆が食べたくないもの作ったって見向きもされません。
「今日はいい熊の肉入りましたよ、料理長自慢の逸品です。」
て言われて頼みますか?
すべてニーズがあるかなんです。
世間の皆が食べたいなと思うものを料理人独自のフィルターを通して商品に仕立てる。
プリンってたくさん売っていますね。
それはニーズがあるから。
それに各社独自の解釈を加えて開発します。
「とろとろプリン」
「生クリームたっぷりのプリン」
「○○おばあちゃんの手造りプリン」
などなど。各社二番煎じってわかっているけど一生懸命開発します。
なんのため?
買ってもらう為、ただそれだけです。
我々は事業を行っているんです。
食べたい!という商品を作り続けないとソッポを向かれます。
東京や外国などはお客様がレストランを育てます。
よくシェフがあいさつに来ますね。
その際にお客様は褒めるけど注意点も伝える。
これが礼儀。
わざと一口残す場合も。
シェフは下がってきたそれを見てパクっと確かめます。
「しまった!焼きが甘かった!!」
料理人魂に火がついて次の皿で最高の一皿を提供します。
「う~ん!シェフ最高ですよ!」
こうやって失敗しつつ、一つ成長します。
良いワインを開けた場合、
ほんの一口残しておく場合もあるそうです。
お客様が帰った後ソムリエに味見させる為だそうです。
こうやってお店は成長していくんです。
まあ、藤沢のこの店でそんなことは期待できません。
ですので皆さんの愛のある酷評が必要なんです。
料理長は
「俺ってサイコー!まずい料理は作らねーぜ!誰一人文句言わせねーぞ!
だまって食えー!ウエーイ!!」
なーんて、これっぽっちも思っていません。
今回のはどうかな?みんな喜んでくれるかなあ?これ初めて作ったけどどうかな?
って初めてだらけ不安だらけなんです。
だから指摘が必要。
そもそも私の持論では反対意見が無いものは失敗作。
どんな物事も。
いくらいい商品でも改良点はあるはずです。
私が権力で独断で決めることもできます。
でもそんなの、作る人間楽しいはずないし、
それじゃあ試食会なんてやらないし、そもそもそんな組織長続きしませんよ。
良いものはお客様にもどんどん紹介して、
いまいちなものはなるべくお客様に出さないように食い止める。
皆さんの重要な役割です。
あまり意見がでないようでしたら、試食会は消滅します。
紙切れ一枚渡して「はい、終わり。」
どうかお店の成長に一役買ってください。